われわれの世界では、物品購入のプロセスが交換的なやりとりとしてみなされる点である。何を購入するにしても、それは交換的なやりとりであって、贈与と返礼の互酬的なやりとりではない。われわれの世界では、買い手が何かを受け取り、それに対して何か別の物(通常は貨幣)を売り手に渡す。1:1の交換、等価価値の交換ではない。
彼らのあいだで重要だったのは、物々交換が彼らの個人的関係の強化に役立つことだった。互酬を繰り返すことは、関係性強化に繋がる。
伝統的社会では、政治的な理由や社会的な理由から、交易者間の関係を維持したいがために、その物品がいずれの側にとっても自前で調達可能な物品であるにもかかわらず、取引の対象となることもまた多いのである。物々交換とは、相手が不要でこちらが必要なものと、こちらが不要で相手が必要なものを交換することであると理解されているが、現実問題、そのように、相互の需要と供給が一致する機会はない。本書の分析では、一致しなくても(物自体の必要性がなくても)、関係性を構築するために、交換することを説いている。
「間接的互酬性」の文化は「贈与経済」とも呼ばれ、これは、今すぐに、あるいは先になって見返りがあるというはっきりした取り決めがたとえなくても、モノやサービスを与えることだ。
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