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すいめいの情報

50xejp81 · 2012-08-18 更新 · 履歴(2)
第 1 版(2012-08-08 11:00:48 · 50xejp81)を表示しています。 最新版に戻る

「僕は君と違ってどうしても下等社界の方に同情があるんだからな」
 小林はあたかもそこに自分の兄弟分でも揃っているような顔をして、一同を見廻した。
「見たまえ。彼らはみんな上流社会より好い人相をしているから」
 挨拶をする勇気のなかった津田は、一同を見廻す代りに、かえって小林を熟視した。小林はすぐ譲歩した。
「少くとも陶然としているだろう」
「上流社会だって陶然とするからな」
「だが陶然としかたが違うよ」
 津田は昂然として両者の差違を訊かなかった。それでも小林は少しも悄気ずに、ぐいぐい杯さかずきを重ねた。
「君はこういう人間を軽蔑しているね。同情に価しないものとして、始めから見くびっているんだ」
 こういうや否や、彼は津田の返事も待たずに、向うにいる牛乳配達見たような若ものに声をかけた。
「ねえ君。そうだろう」
 出し抜けに呼びかけられた若者は倔強な頸筋を曲げてちょっとこっちを見た。すると小林はすぐ杯をそっちの方へ出した。
「まあ君一杯飲みたまえ」
 若者はにやにやと笑った。不幸にして彼と小林との間には一間ほどの距離があった。立って杯を受けるほどの必要を感じなかった彼は、微笑するだけで動かなかった。しかしそれでも小林には満足らしかった。出した杯を引込めながら、自分の口へ持って行った時、彼はまた津田に云った。
「そらあの通りだ。上流社会のように高慢ちきな人間は一人もいやしない」
 インヴァネスを着た小作りな男が、半纏の角刈と入れ違に這入って来て、二人から少し隔った所に席を取った。廂を深くおろした鳥打を被ったまま、彼は一応ぐるりと四方を見廻した後で、懐へ手を入れた。

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