システム生物学
生物全体をひとつの「システムとして」見る新しい生物学。
コンピュータが急速に発達したおかげで、人間が一度には把握しきれないような生物に関する膨大な知識をまとめ、簡単な生物ならば全体をシミュレーションすることすらも可能になった。これによって、システムとして生物全体を見る、新しい生物学が誕生した。らしい。
これによって、いろんなことができるようになる。という人が結構いる。ただし、本当に革新的な話と、役所から予算を獲得するためだけのバズワードを区別することは非常に難しい。
一応、僕も、大学では、Computational Biology/Systems Biology/Bioinformaticsの教室に所属しているのだけれど、この区別には自信がない。
とはいえ、もし、システム生物学が現在公約しているような成果を実現するときが来ら、その成果が活かしやすい医学分野は家庭医学や予防医学の分野ではないかな、という程度の読みはある。
ところで、「システムとして」見ることが新しいような言われ方をすると、これまでの生物学は、全体をシステムとして見ていなかったとでも言うのかと、ツッコミを入れたくなる。
たぶん、「システムとして」見ていなかったのは、分子生物学の一部の人たちだけではないかな、と。あの人達は、生物を勉強しているというより、分子を勉強しているので。別に、それが悪いとは思わないけれど(現状のアカデミズムの中で論文を量産するためには必須だし)、さりとて、「システム」がそんなに立派なものだとも思わないわな。