日本人の笑い
笑いには、日本の自然や歴史、さらに文化的背景が大きく影響を及ぼしている。日本人の笑いを知れば、日本が見えてくるほど深い意味がある。
日本神話に出てくる笑いは、天照大神(あまてらすおおみかみ)が世の乱れに怒り、しだいに笑わなくなり、天の岩戸に隠れてしまう。太陽の神である天照大神がお隠れになり世界は真っ暗になった。
八百万の神々は困り、どうやって天照大神を岩からでていただくかを相談した。神々は、岩の前で薪を燃やし、自分たちが笑って楽しそうに宴会を行う。
天照大神は、何を笑っているのかだんだん気になり、岩戸の隙間から外を覗く。隙間は少しずつ広がりる。宴会は盛り上がり、最後に若い女神(アメノウズメミコト)が全裸に近い踊りで岩戸が全開になる。
その女神が両手を天高く上げ、皿を持って、踊ってる姿が「笑」という象形文字の原点だとされている。
神々の笑いが人間の活気を盛り上げ、五穀豊穣、自然恵み、さらに笑いが結びつき「幸福」をもたらすとされる。宗教との関わりは深い。
今でも「笑い」は神道の世界に深く関わりをもち、長い歴史の中で神社に「笑いの儀式」が継承されている。若い女神(アメノウズメミコト)の踊りは呪縛的な踊りとも言われている。
その後、佛教にも融合され、お坊さんの7つの修行の一つ「和顔施」として伝わる。穏やかな顔は、人を幸せにするのである。
笑いは、日本人の躾として今なお定着している。お作法としての笑いである。広辞苑でも、笑みを含んだ顔が笑顔。歯を出して笑わない。(お歯黒文化)
門川は、笑い顔=笑顔という曖昧さを含む日本の笑いと、笑顔=スマイルの違いにこだわり続けている。