histone
ヒストン:塩基性の低分子タンパク質
・ヒストンとノンヒストンタンパク質にDNAが結合して、クロマチン構造をとることで、ゲノムDNAは圧縮されている。
・H2A,H2B,H3,H4の四つ×2の8量体でコアヒストンを形成。コアヒストン上のDNAは1.75回転(146bp)。
・H1はリンカーに結合。
・ヒストンバリアント(variant,変種):少し配列の異なるマイナー成分で、特別な機能を持つ。
ex.H2AX:リン酸化され、DNA修復をコントロール。
H2AZ:転写制御(緩い結合)
CENP-A:セントロメア(H3バリアント)
→ヒストンバリアントの入れ替えはヒストンシャペロンが行う。
・化学修飾:ヒストンのN末端に構造の不定なテール領域があり、Lys,Serなどの残基がアセチル化、メチル化、リン酸化を受ける。
→クロマチンの局所構造が調節される。:ヒストンへのマーキング。
ex.H3K9のアセチル化:転写活性化
H3K9のメチル化:転写抑制
→アセチル化領域:ユークロマチン
→メチル化領域:ヘテロクロマチン
※ヒストンの化学修飾は体細胞分裂で継承される
→エピゲノム
・ヒストン修飾酵素
1:アセチル化=histone acetyltransferase[HAT]
2:脱アセチル化=histone deacetylase[HDAC]
→HDACの阻害剤:ガン、神経系の薬として開発中
・HDAC:Ⅰ〜Ⅲのクラスがある。
クラスⅠ:核局在
クラスⅡ:核⇔細胞質シャトル
クラスⅢ:サーチュイン、Sir2ファミリー
※転写活性因子と基本転写因子、RNA pol、を仲介する因子の中で、活性するものにはHAT活性あり、抑制するものにはHDAC活性あり。
・HAT:三つのタイプがある。
i)GNAT family
ii)MYST family
iii)p300/CBP
・HAT複合体:残基得意的な修飾を行う。
SAGA複合体:転写活性化
TIP60:ヒストンシャペロン[H2AXの入れ替え]
NuA4:
・ヒストンのメチル化
Lys残基:ヒストンメチル化酵素(HMT)が実行。メチル基供与体はSアデノシルメチオニン。ほぼすべてのHMTはSETドメインを持つ。
基本的には転写抑制に結びつく。H3K9[Suv39H(位置交換を活性),Clr4というHMT]、K7、H4K20
活性状態と関係のあるヒストンメチル化もある。
・H3K9のメチル化:HP1が結合してヘテロクロマチンが形成される。
・ヒストンの脱メチル化酵素
Lysin specific demethylase 1(LSD1)
Jumonji C domain(十文字Cドメイン)
→残基特異的にヒストンの脱メチル化が起こる。
・ヒストン修飾の分布
・ヒストンコード仮説:ヒストンの修飾がくみ合わさって[Code]になる。エピジェネティックな目印が染色体のクロマチンに化学的に書き込まれている。
→遺伝子発現の空間的制御。
・ヒストンコードの読み取り:アセチル化はブロモドメインタンパク[転写を活性化する因子に多い]、メチル化はクロモドメインタンパク[HP1、ポリコームタンパク質]
・ヒストンメチル化酵素とクロモドメインタンパク質が複合体を作るため、ヘテロクロマチンが横に拡張していく。[Suv39H+HP1]
・ヘテロクロマチンの拡張停止
インスレーター[障壁配列]で停止
平衡[せめぎあい]
・RNA干渉と共役したヘテロクロマチン化
ex.セントロメア領域:ノンコーディングRNA→RITS/AGO→ヒストンメチル化