基本
・熱、酵素反応の偶発的失敗、放射線、環境物質によるDNAの変化を修復すること。
・この変化は1日に何千も生じるが、1000個のうち、修復されずに永続的な変化となるのは1個たらずである。
基本経路1:塩基除去修復
・DNAグリコシラーゼ酵素群がかかわる。
・変化した塩基を加水分解で取り除く。各DNAグリコシラーゼは異なった塩基変化を識別する。
↓
・「歯抜け」をAPエンドヌクレアーゼが識別して糖ーリン酸主鎖を切断し、その後損傷部を除去、修復する。
※AP:apurinic,apyrimidinic(プリン、ピリミジンの欠落を意味する。)
↓
DNAポリメラーゼが新たなヌクレオチドを追加、リガーゼがニックを埋める。
基本経路2:ヌクレオチド除去修復
・大きな損傷を修復する。
※大きな損傷=大型の炭化水素(ベンゾピレンなど)とDNA塩基との共有結合や、日光により生じる様々なピリミジンダイマー(T-T,T-C,C-C)が含まれる。
・大型の複合酵素が二重らせんのゆがみを探す。
・ゆがみの両側で異常のある鎖のホスホジエステル結合を切断する。
↓
・損傷を含んだオリゴヌクレオチドは
DNAヘリカーゼによって二重らせんから取り除かれ、生じたギャップはポリメラーゼとリガーゼが修復する。
共役
・RNAポリメラーゼと共役して、緊急に必要なDNAを優先的に修復させる。
二本鎖切断の修復
・二本鎖切断は、染色体の分解、遺伝子の損失の危険を生むので、効率よく修復される。
・多くはDNA複製フォークの停止や破壊によって生じる。
・非相同末端連結と相同組換えがある。
・非相同末端連結は、70歳のヒトでゲノム中に2000カ所はある。
→非相同末端連結には、ヘテロ二量体のKuタンパクが関わる。
DNAの修復は細胞周期を遅らせる。
・損傷のない完全なDNAを世代を経て維持していくことが大事。
ATMタンパク
・ATMタンパクの遺伝子に欠陥があると、AT(ataxia telangiectasia=血管拡張性失調症)になる。
・ATMタンパクは大型のタンパクキナーゼで、自然に起こるさまざまなDNA損傷への応答を引き起こす細胞内シグナルを発するのに必要であり、このタンパクに異常があると、修復されないDNA損傷による悪影響が現れてしまう。